葬儀の基礎知識
臓器移植・献体
医科大学・歯科大学などでは、医学教育や研究のために多くの解剖用死体を必要としています。そこで国は、1983年に「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」を制定しています。献体をするには、書面で献体登録の申込みをします。申込みは、財団法人日本篤志献体協会に連絡すれば用紙を送ってもらえます。登録の申込み先は、医科大学(または大学医学部)、歯科大学(または大学歯学部)または、献体篤志団体などです。
法律では、本人の書面での申し出がある場合、必ずしも肉親の事前の同意を必要とはしませんが、献体登録の際に、肉親の同意の印をもらうのが普通となっています。また、実際には、本人が死亡したあと、家族の反対があれば、献体の実行はできなくなっています。従って登録するときには、家族の方の理解が必要となります。
献体と類似した制度に、アイバンクや、腎臓バンクなどがあります。いずれも献体とは違い、死後角膜や腎臓を他人に移植するというものです。
関連する法規
医学及び歯学の教育のための献体に関する法律
第1条[目的]
この法律は、献体に関して必要な事項を定めることにより、医学及び歯学の教育の向上に資することを目的とする。
第2条[定義]
この法律において「献体の意思」とは、自己の身体を死後医学又は歯学の教育として行なわれる身体の正常な構造を明らかにするための解剖(以下「正常解剖」という)の解剖体として提供することを希望することをいう。
第3条[献体の意思の尊重]
献体の意思は、尊重されなければならない。
第4条[献体に係る死体の解剖]
死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その死体の正常解剖を行なおうとする者は、死体解剖保存法(昭和24年法律第204号)第7条本文の規定にかかわらず、遺族の承諾を受けることを要しない。
- 当該正常解剖を行なおうとする者の属する医学又は歯学に関する大学(大学の学部を含む。)の長(以下「学校長」という)が、死亡した者が献体の意思を書面により表示している旨を遺族に告知し、遺族がその解剖を拒まない場合
- 死亡した者に遺族がない場合
第5条[引取者による死体の引渡し]
死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、当該死亡した者に遺族がない場合においては、その死体の引取者は、学校長から医学又は歯学の教育のため引き渡しの要求があったときは、当該死体を引き渡すことができる。
第6条[記録の作成及び保存等]
- 学校長は、正常解剖の解剖体として死体を受領したときは、文部省令で定めるところにより、当該死体に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。
- 文部大臣は、学校長に対し、前項の死体に関し必要な報告を求めることができる。(指導及び助言)第7条文部大臣は、献体の意思を有する者が組織する団体に対し、その求めに応じ、その活動に関し指導又は助言をすることができる。
第8条[国民の理解を深めるための措置]
国は、献体の意義について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
角膜及び腎臓の移植に関する法律
第3条[眼球又は腎臓の摘出]
- 医師は、視力障害者の視力の回復を図る目的で行われる角膜移植術に使用されるための眼球を、死体から摘出することができる。
- 医師は、腎臓機能障皆者に腎臓機能を付与する目的で行われる腎臓移植術に使用されるための腎臓を、死体から摘出することができる。
- 医師は、第1項又は前項の規定による死体からの眼球又は腎臓の摘出をしようとするときは、あらかじめ、その遺族の書面による承諾を受けなければならない。ただし、死亡した者が生存中にその眼球又は腎臓の摘出について書面による承諾をしており、かつ、医師がその旨を遺族に告知し、遺族がその摘出を拒まないとき、又は遺族がないときは、この限りでない。
第4条[摘出してはならない場合]
医師は変死体又は変死の疑いのある死体から、眼球又は腎臓を摘出してはならない。