葬儀の基礎知識
海外での死亡、外国人の死亡
日本の国際化に伴い、日本人の海外での事故・病死が年々増大しています。また日本国内での外国人の死亡数も、東南アジアからの労働者、留学生などの増加により増え、平成11年度で5,670人となっています。こうした状況から、遺体や遺骨の本国返還するケースが増えることが予想されます。そこで海外での死亡、外国人の死亡の両方の法的手続きを取り上げてみました。
日本への遺体空送
海外で死亡した日本人遺体を、本国へ返還する規則を取り上げました。以下の内容は、昭和32年4月、厚生省公衆衛生局長が外務省欧米局長に宛てた回答です。
遺体を日本へ空送する場合の取扱規定に関する件
<問>
- 死亡者が日本人でなければ埋葬許可が得られないか。若し、許可が得られるならば、いかなる場合に外国人の埋葬が許可されるか。
- 遺体を輸送する際は、アメリカ合衆国の各地方役所の発給した埋葬許可書、輪送許可書以外にいかなる書類が必要であるか。
- 遺体の納棺には、アメリカ合衆国で用いられている標準技術以外に特別の材料又は方法が必要であるか。
- ひつぎの構造に関する規定いかに、また、遺体の上をガラスのパネルで密封する必要ありや。
- 輸送用外箱に関する規定及び構造上の規格いかに、また、ハンダ付け金属板の内張りが必要であるか。
- 輸送の際の領事館検査の必要条件は何か。
- 荼毘(だび)に付した遺骨の輸送に関する必要条件は、荼毘(だび)に付さない遺体の輸送の場合と異るか、もしそうである場合は特に必要とする条件を列挙されたい。
<答>
昭和32年1月26日米合第317号をもって照会のあった標記の件のうち、当省関係事項である設問第1について、次のとおり関係法規(墓地、埋葬等に関する法律、墓地、埋葬等に関する法律施行規則)を添え、回答する。なお、設問第2以下は、墓地、埋葬等に関する法律事項以外のことであるから念のため申し添える。
記 埋葬許可は、死亡者の国籍の如何をとわず、本法施行地で死亡した場合、死亡地の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)がこれを与えることとなっている。御照会のような事例については、現行法では特に規定が設けられていないので、法第7条の規定を準用して、原則的には遺体を空送する飛行機が最初に着陸した本法施行地の市町村長の許可を受けて埋葬するよう取り扱うことと致したい。
日本からの遺体移送
日本国内で外国人が死亡した場合、はじめに死亡者の遺族に遺体処置(火葬・土葬)の方法を確認します。遺族が国外にいる場合には、領事館等を通じて確認します。
遺体を国外に移送する場合、遺体をエンバーミング(防腐処置)して送り届ける場合があります。日本ではエンバーミングをする病院等が限られており、火葬を薦めています。エンバーミングをする場合、それを行う病院を領事館で紹介してもらう必要があります。エンバーミング処置や飛行機での遺体移送は、料金が高額なため、料金支払済みの書類が必要な場合もあります。
遺体を移送するためには、当然遺体を受け入れる国の規定に従います。領事館(大使館)で、遺体移送手続きに必要な書類を提出し、エンバーミング、通関手続き等を行います。
基本的な手順
遺族に遺体処理方法を確認する。遺族が国外の場合には領事館、又は大使館を通して行います。
(1)火葬して遺骨を移送する場合
- 死亡診断書 2通
1通は死亡地の役所に提出し、埋火葬許可書を受け、1通は領事館に提出します。また火葬後の埋葬許可書と葬儀費用の明細を領事館に提出します。
(2)遺体移送の場合
- 死亡診断書 2通
うち1通を領事館、1通を遺体処理する病院に提出します。 - 遺体処理証明書
エンバーミングを行った病院担当医の処理証明書を領事館に提出します。 - 梱包証明書
梱包証明書は、棺のなかに遺体以外は入っていないことを述べた書類で、領事館員立会いの元に遺体の納棺梱包します。
(3)航空機の手配
国別の取り扱い規定外国に遺体を移送する場合は、移送する国の最新の規則について領事館に相談する必要があります。
- 死亡者氏名
- 死亡原因(伝染病でないこと)
- 送り主
- 送り先
- 送り先の国籍・住所・氏名
- 梱包サイズ
- 使用ドライアイス量
- 移送内容と取り扱い葬儀社名
- 遺族名
遺体移送は貨物扱いになります。航空貨物運送会社に手続きを代行してもらいます。