葬儀の基礎知識
応急手当
とっさのときの心得
- 病人が急変した場合は、あわてず冷静な判断が大切です。沈着さこそ応急手当の第一歩です。
- 病人をむやみに動かさず、安静にするのが第一です。
- 患者は不安になっています。心配を増すような言葉は慎み、病人を元気づけます。
- 無意識のときは飲物を与えません。液体が肺に入りやすい状態なので危険です。
- からだが冷えないよう、適当に毛布などをかけて保温に注意します。
- 意識を失ったり、嘔吐のあるときは窒息の危険があるので、気道を確保するように注意します。
- かかりつけの外科・内科医の電話番号をメモしておき、医師や救急車に大至急連絡します。
救急車を呼ぶ
あわてている場合が多いが、落ち着いて次の要領で呼びます。
- 電話をしている自分の名前と、救急車の依頼をします。
- 病人の病名や容態などを知らせます。このことが救急隊の処置をスムーズに運ばせます。
- 病人のいる場所やよく目立つ目標をはっきりと伝えます。
- 救急車が来るまでの間、病人に付き添い看護の手をゆるめないようにします。
- 救急車に同乗する場合があるので、簡単な外出着に着替えておきます。
蘇生法
蘇生法とは、呼吸が停止したり心臓が止まったときに、適切な処置を施し生命を救う方法です。蘇生法には、気道の確保、人工呼吸、心臓マッサージの順で行なうのがコツです。
人工呼吸法
人工呼吸を行なう前に、まず次のような処置をします。
- 口や鼻の中に異物がつまっていれば、できるだけ早く取り除きます。
- 相手の衣服をできるだけゆるめます。
気道の確保
意識を失うと、舌の根元がのどの奥に落ちこんで、気道をふさいでしまいますので、相手の頭をできるだけ後ろに反らせるようにして、気道を開いてあげねばなりません。
マウス・トウ・マウスの方法
- 深く息を吸い、相手の口に自分の口をおおうようにして息を吹きこみます。このとき、指で相手の鼻をつまみ、吹きこんだ息が漏れないようにします。
- 次に口を離すと、相手は胸の弾力で自然に息を吐き出します。
- 口を離したら大きく息を吸い、また相手の口に自分の口を当てて、息を吹きこみます。吹きこみの回数は、1分間に12回から15回程度です。最初の4回の吹きこみは、急速に行うようにします。
- 人工呼吸中に、相手が嘔吐するような場合、頭を後ろに反らせたまま、からだを横に向かせて吐かせてから、口の中を十分にぬぐいます。なお、口と口が触れることへの抵抗感や不潔感があるときは、ガーゼなどを相手の口におおって行ないます。
心臓マッサージ
心臓が止まっているかを知るには、大きな動脈の拍動がない、呼吸が止まっている、瞳孔が大きく開いている、心臓の音が聞こえない、皮膚の色が暗紫色になっているなどの症状で判断できます。このような場合は、直ちに心臓マッサージを行ないます。
方法
- まず患者を、かたいものの上にあおむけに寝かせます。自分の両手を重ね、胸骨の下半分の部分に当てます。
- 両手に体重をかけるようにして、両手が3、4cm沈む程度にリズミカルに圧迫します。これを1分間に60回ほどくり返します。
病人を運ぶ
病人を運ぶ場合、普通あおむけにしますが、意識を失っている場合や、首や背骨を強く打った場合には、運び方、寝かせ方に、特別の注意を払います。また運び方、寝かせ方で、患者の容態をいっそう悪くさせてしまうことがありますので注意が必要です。
- 背負って運ぶ方法
力がない人でも運べるし、患者の背骨を曲げないで運ぶことができます。 - 抱き上げて選ぶ方法
力のある人でないとむずかしい方法です。意識を失っている患者は重いのでこの方法は使えません。 - 抱きかかえる方法
患者に意識があって、歩けるような場合に使います。
担架で運ぶ
- 担架は必ず患者のわきまで運び、患者を担架に移します。
- ショックを予防するために必ず毛布などで保温します。ただし患者が暑がる場合はいけません。
- 後方にいる人は、患者の容態の変化を観察できるように、患者の足を進行方向に向けて運びます。ただし坂を登る場合には、患者の頭が前にくるようにして運びます。
意識を失っている場合
患者が意識を失っている場合は、すぐ横向きにして寝かせ、頭を後ろにそらしてのどを広げるようにし、顔は下向きに地面のほうに向けます。これは気道を確保するためと、嘔吐が起きたとき、吐物が流れやすくするためです。ひざは少し曲げます。
自動車で選ぶ
痛みを感じさせないで自動車に乗せることは困難です。また乗用車では、患者を水平にして置くことは不可能に近いので、救急車が使用できないときは、荷台の広いバン型の車に寝かせて運びます。乗用車の後席に乗せて運ぶことは子供の場合以外は避けます。特に意識を失っている場合には、気道がせばまったり、吐いたものがのどにつまらないように注意します。