ご葬儀エピソード 03
母娘の時間
ときには涙をみせないご遺族もいらっしゃいます。その方はたった一人のお身内であるお母様をなくされた娘さんでした。
若くして喪主を務め、親戚や故人の友人を前に涙ひとつ見せず、気丈にふるまっておいででした。このままお別れしていただくことがご遺族にとって本当に良いことなのか。娘さんの様子を傍らで拝見するなかで、どうしてもその気がかりが消えませんでした。
そして、お母様とお二人の時間をお過ごしいただくことをご提案しました。
おふたりのかけがえのない語らいの時間を
葬儀が始まる少し前、ほんのひとときの間ですが、母と娘、お二人だけの時間をつくってさしあげることができました。
娘さんは声を出さずに、静かに、泣いておられました。1日もはやくお元気になってもらいたい、そう願わずにはいられませんでした。
悲しみと向き合うことはご遺族にとってつらいものです。でもそれが前へ踏み出す一歩にもつながる。
だからこそ、よりよいお別れをしていただけるよう、私たちは努力していかなければなりません。その想いを改めて強く感じさせていただけるお別れでした。
- エピソードはすべて実際のお話ですが、個人情報の観点から写真はイメージ画像とさせていただいております。