葬儀の基礎知識
神社本庁の葬場祭詞
葬場祭では饌が供えられた後、斎主が祭詞を奏上します。そのあと玉串奉典が行なわれますが、ここでは故人の名と死亡年月日などが記された葬場祭詞を取り上げました。
経典
意訳
道中の前と後ろを厳かに警固しつつ、お供としてまいりました。
さてこの清められた場所に於て、暫くの間、祭壇を設置し回りには幕をめぐらしました。真榊を用意し、旗も数多く準備し、霊柩をかついで安置いたしました。
さて誰々(故人名)の前に、誰々(神官)が謹んで申しあげます。「あなた(故人名)は病気が重くなってお悩みになってから、医師の力を頼み、看護のすべてを尽されたのでありますが、命にも限りがあり、○月○日○時、病気が急変し、今年○歳で人生の限りとして亡くなられました。これは大変に惜しく、哀しいことの極みであります。
哀れ汝(故人名)は○年○月○日に何某(親名)の子として出生されました。心は清く明るくまっすぐで正しくて、世のため人の為に思いをこらし、力を尽くされ、その志や功績は高く明かであります。(女性=哀れ汝は心優しく、美しく、万事に一生懸命つくされました。)
皆、あなたこそ長生きで長寿であろうと、千年も万年も生きてほしいと頼みにしていましたが、哀れにもこの世ほど定めのないものはありません。人の年令も頼みにはなりません。今このように隠れになった身の上を嘆き哀しみ、惜しみ慕うことも限りのないことでありますので、人の世の習慣に従って、今葬儀を執行しようと幣帛を奉り、またお供えの食事、酒、山海の物を並べました。
親族家族をはじめ、遠近より齋場に一杯になるほど人々が列を連ねました。会葬の人々が、最後の別れにと進み出て、榊の葉の露に涙を添えて玉串を手向け賜ますので、どうか平安の心で受けてほしいと、謹んで申し上げます。