葬儀の基礎知識

天台宗の式文(光明供)

天台宗の葬儀には、大きく分けて密教儀礼である光明真言の秘法に基づくものと、顕教儀礼である阿弥陀の力によって浄土に導く作法があります。

ここでは密教儀礼である引導式のなかの「光明供葬送作法」を取り上げました。

経典

意訳

慎み敬って、真言教主で清らかな法体である大日如来。西方浄土に導き下さる阿弥陀如来。広大無辺の仏の教え。観音、勢至他大菩薩。舎利弗、目連、多くの修行者。および無数の国土、仏眼の照らされる一切の三宝に対して申し上げます。

まさに今、南部人間界日本の何州のこの道場において、一心清浄の誠をもって、新円寂(戒名○○)の葬儀の儀を整えます。光明真言の秘法を修します。その主旨は、罪を滅ぼし善を活かすこの勝用は、光明真言の効力によるのがよく、この身のままで仏になる重要な技術は、三蜜ヨーガの技法によるのが一番であります。これにより、わずか一度唱えれば、遠い過去に犯した罪を消滅させ、わずか一音を聞いただけでも、計りしれない功徳を得ることができます。誠にこれは本当の仏と仏の境界、速やかに悟り、速やかに効果のある秘密の術であります。

伏して思えば、かつて故人は意識や物質が集まって肉体となり、人間界の巷に仮に宿ったものであります。ここで地水火風空識の六大世界の悟りを開いた心は、ついに東の丘の煙になってお隠れなさいます。悲しいかな生者は必ず死ぬという掟、痛いたしいものは、会う者は必ず別れるという定めです。仏法僧に帰依して冥土の宝になるのがよいでしょう。

ここに光明密教の隠された智恵を修して、葬送の祈願の法式を整えます。これにより死者はたちまちにして、地獄から菩薩界までの九界の暗い路を出て、十転して明るく開いた暁に出ます。速やかに四仏の素晴らしい台坐に入り、大日如来の五智に満たされた光に入ります。そこは真実の世界で益を得、清められます。よくよく法が久しく住み、利益は人天に及んで、過去の死者も等しく悟りを得るようにされます。

大いなる大日如来に帰依します。金剛手菩薩に帰依します。亡き魂のための葬儀の場とは、罪を滅し善を生む機会とし、法の味を食し功徳を証明するためであります。冥土の官吏や人々がこの場に集い現われますので、それぞれ法楽荘厳威光増益のために、供養として般若心経、大般若経名を捧げます。

インド、中国と伝わったの諸大師等の行願が満ち、頼る者のないすべての死者の霊が皆仏道をなすために。大いなる大日如来に帰依します。金剛手菩薩に帰依します。日本が安穏で天皇の延長のために奉ります。大いなる大日如来に帰依します。信心英檀、健康で延命、諸難の消除のために。大いなる大日如来に帰依します。ないし法界平等利益。大いなる大日如来に帰依します。決定法成就のために大いなる大日如来に帰依します。一字金輪仏頂に帰依します。一切三宝に帰依します。

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