葬儀の基礎知識

遺言書の作成

遺言書がなかったために起こるトラブルが増大し、それに比例するように遺言書の作成件数もふえています。遺言による指定は法定相続よりも優先されるため、法定相続ではカバーできないことを、自分の意思として明示することができます。遺言書を書く必要のある場合とは、特に次の場合が考えられます。

  1. 自分の事業の後継者を指定したい
  2. 遺産を公益事業などに寄付したい
  3. 血族相続人が子供以外の場合
  4. 特定の子供により財産を多く与えたい
  5. 財産を与えたくない相続人がいる
  6. 先妻の子供と後妻の子がいる場合
  7. 内縁の妻や未認知の子供がいる
  8. 相続人が未成年者である

などがあげられます。いずれにしましても、素人が自己流に作成しますと、法的に無効になる場合がありますので、法律に従って作成しなければなりません。

関連する法規

民法

第961条[遺言適齢]

満15歳に達した者は、遺言をすることができる。

第964条[包括遺贈・特定遺贈]

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は1部を処分することができる。但し、慰留分に関する規定に違反することができない。

第967条[普通方式の種類]

遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってこれをしなければならない。但し、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

第968条[自筆証書遺言]
  1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。
  2. 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。
第969条[公正証書遺言]

公正証書によって遺言をするには、以下の方式に従わなければならない。

  1. 証人2人以上の立会があること。
  2. 遺言者が遺言の主旨を公証人に口授すること。
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせること。
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印をおすこと。但し、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることが出来る。
  5. 公証人が、その証書は前4号に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。
第970条[秘密証書遺言]

秘密証書によって遺言をするには、左の方式に従わなければならない。

  • 遺言者が、その証書に署名し、印をおすこと。
  • 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章を以てこれに封印すること。
  • 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
  • 公証人が、その証書を提出した日附及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し印をおすこと。

第968条第2項(自筆証書遺言の加除訂正)の規定は、秘密証書による遺言にこれを準用する。

第976条[死亡危急者の遺言]
  1. 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会を以て、その1人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合には、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印をおさなければならない。
  2. 前項の規定によってした遺言は、遺言の日から20日以内に、証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力がない。
  3. 家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。
第1004条[遺言書の検認・開封]
  1. 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様である。
  2. 前項の規定は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会を以てしなければ、これを開封することができない。
第1005条[遺言書の検認懈怠・不法開封の制裁]

前条の規定によって遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処せられる。

第1022条[遺言書の取消の自由・取消の方式]

遺言者は、何時でも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は1部を取消すことができる。

第1028条[遺留分権利者とその遺留分]

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。

  1. 直系尊属のみが相続人であるときは、被相 続人の財産の3分の1
  2. その他の場合には、被相続人の財産の2分の1

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