葬儀の基礎知識
異状死の届出
人が死亡したとき、死亡の種類が病死などの内因死(自然死)と、事故死や殺人死などの外因死では、法律上の扱いが異なってきます。
- 異状死体の届出
一般に医師の治療をうけている患者が、その病気で死亡すると、医師は「死亡診断書」を作成し遺族に交付します。そして遺族は死亡診断書とともに「死亡届」を役場に提出すると、埋火葬の許可がおり、死亡した人の戸籍が抹消されます。しかし医師が死因の不明の異状死体を検案した場合、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません。この場合、一般に以下の手続きが行われます。 - 「行政検視」と「司法検視」死因等の不明な異状死体の届出がありますと、警察官は「行政検視」を行います。そして犯罪と関連性やその疑いがある遺体は検察官に報告され、検察官または司法警察員による「司法検視」が行われます。
- 「行政解剖」と「司法解剖」法医解剖は「行政解剖」と「司法解剖」とに分けられます。行政解剖は、死体解剖保存法などにもとづいて監察医が行います。死因の明らかでない病死者(医師の診断をうけていない病死者など)、自殺者、災害死者、伝染病死者、食中毒死者など、犯罪に関係がない異状死体の死因を究明することを目的とします。司法解剖は、犯罪に関係ある遺体、またはその疑いのある遺体について、死因、死後経過時間などを究明します。
関係法規
死体解剖保存法
第2条[保健所長の許可]
死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。
第7条[遺族の承諾]
死体の解剖をしようとする者は、その遺族の承諾を受けなければならない。但し、左の各号のlに該当する場合においては、この限りでない。
- 死亡確認後30日を経過しても、なおその死体について引取者のない場合
- 2人以上の医師(うち1人は歯科医師であってもよい。)が診療中であった患者が死亡した場合において、主治の医師を含む2人以上の診療中の医師又は歯科医師がその死因を明らかにするため特にその解剖の必要を認め、且つ、その遺族の所在が不明であり、又は遺族が遠隔の地に居住する等の事由により遺族の諾否の判明するのを待っていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかな場合(以下略)
第8条[監察医の検案・解剖]
政令で定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によっても死因の判明しない場合には解剖させることができる。但し、変死体又は変死の疑がある死体については、刑事訴訟法第229条の規定による検視があった後でなければ、検案又は解剖させることができない。
第11条[犯罪に関係する異状の届出]
死体を解剖した者は、その死体について犯罪と関係のある異状があると認めたときは、24時間以内に、解剖をした地の警察署長に届け出なければならない。
第20条[死体取扱上の注意]
死体の解剖を行い、又はその全部若しくは1部を保存する者は、死体の取扱に当っては、特に礼意を失わないように注意しなければならない。
第28条[死体の解剖]
- 都道府県知事又は保健所を設置する市の市長は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包装に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を遺族の同意を得て解剖に付することができる。
- 前項の場合において、その死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼす恐れがあると認めるときは、遺族の同意を得ないでも、これに通知した上で、その死体を解剖に付することができる。
軽犯罪法
第1条[罪]
第1条は34項目ですが、特に関連ある2項を以下にあげました。左の各号の1に該当する者は、これを拘留または科料に処する。
18項)自己の占有する場所内に、老幼、不具もしくは傷病のため扶助を必要とする者又は、人の死体もしくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかった者
19項)正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者