料理長からの食材だより
桜の咲く頃が旬「タラの芽」
2020年3月17日
今月ご紹介する食材は、タラの芽です。
タラの芽は、ウコギ科のタラノキの新芽の事で、この新芽の部分を山菜として食用とします。
ほのかな苦みや、もっちりとした食感が春を伝える食材として人気があり、山菜の王様とも言われています。
タラの木は全国の山野に自生していますが、栽培も進んでいます。
昔は旬の時だけ味わえる貴重な食材でしたが、今では栽培物が早い時期から長い期間スーパーの棚に並ぶようになり、少しありがたみが薄れてしまったようにも感じますね。
山に自生しているタラの木は白っぽく幹や枝の表面に鋭い棘が沢山あり男ダラと呼ばれています。
山菜採りの時には、この棘がウルシとの見極めになるそうですが、棘の少ない女ダラという種類もあり、栽培には主に女ダラが用いられます。
タラの芽は山形をはじめ徳島・富山・島根など各地でハウスでの水耕栽培が行われています。
地方によって方法は若干違いがあるそうですが、タラの木の原木を前年の秋から冬にかけて長さ1~1.5メートル直径5センチほどに伐採しておき、タラの芽が出る所に合わせて10~15センチほどの長さにカットしたものを水の張ったところに、びっしりと並べビニールシートで覆い、芽が出たところを、収穫します。
天然物は初夏にかけて、全国で採れるので、地方にもよりますが、4月~6月上旬位までです。
桜の咲く頃が丁度タラの芽が出る頃と同じだと言われています。
他の食材にも言える事ですがハウス栽培物は、料亭などの需要に応える為かなり早い時期から出荷が始まり、早い物で12月頃から出荷され、出荷のピークは2月下旬~3月になります。
ピーク時に採れたタラの芽は、「山のバター」とも言われ、植物性の油脂や上質なタンパク質が豊富に含まれており、香り・苦み・コクともバランスが良く栄養的にも、価値が高いため人気のある山菜です。
一般的には、天婦羅が主流だと思いますが、採れたてのタラの芽を火にかざして焼き、焼きたてのタラの芽に味噌を塗って食べるのも、タラの芽本来の味が楽しめるので、是非試して下さい。