料理長からの食材だより
旬を迎えた真鯛「桜鯛」
2019年4月16日
今月は、真鯛についてお話したいと思います。
真鯛といえば、日本ではお祝いの席でもよく見かけるほど昔から重宝されています。
「人は武士、柱は檜、魚は鯛」と言われ日本人にとって鯛は魚の中の魚であるとされているほど、姿、色、味、と三拍子そろった魚で古くから伝わる祝い魚です。
世の中の鯛と名の付く魚は200種以上ありますが、鯛とは無縁の魚が多く本物の鯛科の魚は「マダイ・チダイ・クロダイ・キダイ・へダイ」など数種です。
カツオやマグロのような回遊魚と違い、餌を獲ったり、敵から逃げる時に瞬発力を発揮するため白筋が発達し白身魚となると言われています。
日本での鯛の養殖は盛んで市場に流通されている大半が養殖ものです。
養殖技術も発達し養殖でも美味しくなっていますが、天然の真鯛と比べると、養殖の鯛は、生簀「いけす」の中で育つ為、網にふれて尾びれが擦り切れていたり、浅い生簀で養殖されてる鯛は天然の鯛よりも、日焼けして黒ずんだりしています。
通年美味しい鯛ですが、特にこれからの季節は、充実した身質になり、メスの真鯛が産卵を迎える前にピンク色に色づく事も関係して旬を迎えた真鯛は桜が咲く季節から「桜鯛」と呼ばれています。
真鯛は鹿児島から青森までの水揚げが見られ、中でも瀬戸内海の岩礁で水揚げされた真鯛は「明石の鯛」と言われ水産業界でも一級品として扱われています。
天然の真鯛は、養殖に比べて脂は少なく感じるものの身のしまった天然真鯛は、養殖にはない食感と甘みを感じられるでしょう。
白身の鯛は、高タンパク低脂肪のため消化吸収も良いので高齢者や離乳食にもお勧めです。
真鯛は、各産地ならではの調理法や郷土料理があり、徳島の「鯛めし」・愛媛の「鯛そうめん」・熊本の「鯛茶漬け」など様々で、他にも昆布〆・しゃぶしゃぶ・かぶと煮と、いろいろな調理法があるので、是非ご家庭でチャレンジし旬の桜鯛で春を満喫してみてはいかがでしょうか。