フラワーディレクターからの花だより
千日長持ち?! 丸くてかわいいセンニチコウ
2024年9月17日
アレンジなどで、ころころした丸いお花が顔をのぞかせているのを見たことがありませんか?
今回は、そんな丸いお花が可愛らしいセンニチコウ(千日紅)のご紹介です。
丸いお花と言っても、センニチコウの丸い形を作っているのは「苞(ほう)」と呼ばれる葉が変化したもの。
実際のお花は苞のあいだに粒のように小さく見える白や黄色の部分。
隙間にこっそり隠れているようで、なんだか可愛らしい姿です。
原産地は熱帯アメリカや、熱帯アジアと言われています。その為、暑さに強く夏でも負けずに咲いてくれます。
また、名前の由来にもなった開花時期の長さも魅力です。
植わっている株だと、花期は5~11月頃までとかなり長め。
花が長い期間にわたって咲くため「百日紅(サルスベリ)」よりさらに長い「千日紅(センニチコウ)」と呼ばれるようになったとか。
そして千日命を灯し続けるという考え方や飾って長持ちすることから、主に仏花として扱われていました。
日本では仏花としての利用が多かったセンニチコウですが、海外に目を向けると色々な使われ方をされています。
ネパールでは、長寿を願い姉妹が兄弟にセンニチコウの花輪を贈る風習があるそうです。
西洋では、男性が意中の相手に会いに行く際に胸ポケットに入れて恋の行方を占ったことから、「独身者のボタン(Bachelor’s Button)」なんて呼び名がついてみたり。
花以外も利用されているようで、中国では咳止めの薬草として。
インド・ベトナム・インドネシア等では、葉や若い芽を食用にしているのだとか。
国ごとに利用法は様々ですが、身近なお花だったようですね。
さて、開花の時期は長いセンニチコウですが、切花にするとちょっと水が下がりやすい傾向があります。
飾るときに葉がたくさん付いていたら、少し取ってあげると水が上がりやすくなります。
お花がくたっと下を向いてしまったら、水の中で茎をカットする「水切り」で復活できることもあるので試してみて下さい。
また、茎が短い方が水が上がりやすいので、丈を短くして飾りなおしてあげる手もあります。
今回は丈の長い飾りと、丈を短くした飾りとを用意してみました。
長い方はススキの葉と合わせて、シンプルでどこか涼しげな野趣に富んだ味わい。
短い方は、センニチコウと同じヒユ科のお花のケイトウと合わせて、賑やかなベリー詰め合わせのような雰囲気に。
「素朴」も「カワイイ」もこなしてしまうセンニチコウ。
お好みの飾り方で、仏花だけではない魅力を皆様もぜひ楽しんで下さい♪