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料理長からの食材だより

端午の節句に「柏餅」を食べる理由

2018年5月16日

5月といえば、GWの最終日となる端午の節句があります。今年は、9連休という方も多かったことでしょう。
この5月5日前後に、子供の頃から何の疑いもなしに食べているものとして柏餅や粽(ちまき)があります。その柏餅や粽は行事食になります。そして食べ物だけではなく菖蒲湯に入る風習もあります。
もともと端午の節句は中国の風習でした。中国では旧暦の5月は病気が流行しやすかったことから「5月は悪月」や「毒月」と言われていました。5年の中でも5日は「5が重なる悪月の悪日」とされ、厄除けのために菖蒲や蓬を門に挿し、菖蒲を浸したお酒を飲んで厄除けや健康祈願をしていました。この風習が奈良時代に日本に伝わることになります。

日本では端午というのは、もとは月の端「はじめ」の午「うま」の日という意味で、5月に限ったものではありませんでした。しかし、午「ご」と5「ご」の音が同じなので毎月5日を指すようになり、やがて5月5日のことになったとも伝えられます。
柏餅が端午の節句の食べ物として定着したのは、江戸時代と言われています。
なぜ柏の葉を使ったのかというと、柏の葉は、新芽が出てから古い葉が落ちることから、新芽を子供、古い葉を親にたとえ「子供が生まれるまで親は死なない」と考えました。そこから「家系が絶えない」さらに子孫繁栄と結びつき縁起のいい食べ物として定着していきました。
柏餅が日本独特のものであるのに対して、粽は端午の節句と一緒に中国から伝わったものです。粽には、「難を避ける」という縁起ものの意味があり中国の故事にちなみ,節物として粽を作り親戚や知人に配るという習わしが生まれ、日本へ端午の節句行事ととものに伝わり今日に至ってます。

こうして、日本国民には大変馴染みのある柏餅ですが、今では中身もバリエーション豊かで、つぶ・こしあんだけではなく、しろ・みそ・カスタードだったりします。餅も白餅や草餅もあります。
ですが、5月5日周辺の時期を過ぎると和菓子屋さんから早くも姿を消してしまう期間限定の和菓子でもあるので、日本独特の和菓子を、この時期に是非食べてみてはいかがでしょうか。

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