料理長からの食材だより

冬の風物詩「ワカサギ」

2020年2月12日

今月はワカサギについて、お話したいと思います。
諸説ありますが、ワカサギの「ワカ」は湧くに由来し「サギ」は多い事を意味する説と、「ワカ」は幼い、弱々しい事を意味し「サギ」は白い事や小魚を表しこれに由来してると言う2説が濃厚な由来だと言われてます。
漢字では「公魚」と書き霞ヶ浦、北浦の一部を治めていた麻生藩が将軍家斉公に年貢として治めていたことから、公儀御用の魚、つまり「公魚」と呼ばれこの漢字があてられました。
極寒の中、氷の張った池や湖に穴を開け糸をたらし公魚を釣る風景は冬の風物詩にもなっています。
桜の咲く頃に孵化した稚魚の漁が秋から始まり秋の深まりと共に脂がのり真冬には身がしまって適度に脂も落ちます。そして冬から初春が公魚の旬と言えます。公魚は、サケ目キュウリウオ科ワカサギ属に分類され、同属は世界に6種、日本には、その内ワカサギ・チカ・イシカリワカ・サギ・チシマワカサギの5種が分布しています。
もともと冷水の海産魚で、日本海側は島根以北、太平洋側は茨城以北から北海道オホーツク海沿岸に分布していました。川で生まれて汽水湖や海で育って産卵のために故郷の川に戻るという鮭の縮小版のような回遊を行っていたようです。
それが明治の終わり頃から各地の湖に移植されるようになったのと、沿岸域の環境変化に住みかを奪われて、すっかり淡水魚になってしまいました。

産地ならではの漁師料理は、ウロコもほとんど無く気にならないので、獲れたてを油で揚げる天婦羅や唐揚げが一番美味しいと言われています。
ワカサギは死後硬直に入る時間も短く熟成の時間も短いので、釣り上げて氷の上に放って置き、その場で揚げて食べるのが最も美味しいと漁師さんは言います。

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