フラワーディレクターからの花だより

花から根(薬用)まで人気♪ シャクヤク

2024年6月21日

5~6月に大きくて豪華な花を咲かせるシャクヤク。
しなやかで優しい姿を意味する「綽約(しゃくやく)」という言葉が由来という説もあります。
英語では「Peony」(ピオニー)。香水などの香りで知っている方もいるかもしれませんね。
よく似た花姿のボタンも「Peony」と呼ばれますが、花そのものに香りがあるのはシャクヤクの方が多いんです。
香りは個体差が大きいものの、成分を見るとバラ・キク・スズラン・カトレアなど数多くの香り成分が含まれているのだとか。
一種類で花束のような香りが楽しめそうですね!

そんなシャクヤクの原産地は、シベリア・中国・モンゴルあたり。
平安時代以前にはすでに日本に渡ってきていた歴史のあるお花です。
当時の目的は、お花や香りというよりも薬用がメインでした。
消炎・鎮痛・抗けいれんなどの効果があるとされ、今でも色々な漢方薬に使用されています。
風邪の時の漢方としてよく聞く葛根湯にもシャクヤクの成分が入っているそうですよ。

その後、観賞用としての需要が広がり品種改良も進んでいきます。
江戸時代には茶室の床に飾る茶花として一躍人気者に。
この頃作られた品種は「和シャクヤク」と呼ばれ、茶室に似合いそうな一重咲きや中央に小さな花弁がきゅっと集まった翁咲きなど、比較的すっきりした姿のものが多いです。
一方、18世紀後半ヨーロッパに渡ったシャクヤクは、大輪のものや花びらが多いバラ咲きなどゴージャスな雰囲気の品種が多く作られていきました。
こちらは「洋シャクヤク」と呼ばれ、香りの強いものが多いのも特徴です。
シャクヤクだけに限りませんが、それぞれの国の好みがお花にもしっかり現れていてとても面白いですね。

現在お花屋さんで売っているシャクヤクは、和・洋の区別なく「シャクヤク」として売られていることが多い印象です。
ふんわりした花びらのものが多く、飾る際には和洋どちらでもなんとなく馴染んでくれるので色々な楽しみ方が出来ますよ♪
購入する際には、つぼみがゆるんで先端に花の色が見えてきているものがおすすめ。
ころんとした固いつぼみよりもお花が開きやすいです。
出会える期間はあまり長くはないですが、ぜひ好きな器に飾って楽しんでみて下さいね^^

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