料理長からの食材だより

あっさりとした甘みが美味しい夏の「アナゴ」

2021年7月14日

今月は、穴子についてお話したいと思います。
岩の割れ目などの穴に身を潜めてるところから、穴子と言われているそうですが、実は砂の中に埋まってる事の方が多いようです。また側面に沿って白い斑点が秤のメモリに似てる事から、ハカリメとも呼ばれています。

全長は大きい物で1メートル程にも成長しますが、特に江戸前では20cm前後のものが好まれ「メソ」・「メソッコ」と呼ばれ、天ぷらや寿司で重宝されてます。
普通に穴子と言えば、マアナゴの事を指しますが日本近海には20種類以上生息していて、食用とされているのが「マアナゴ」「クロアナゴ」「ギンアナゴ」「ハナアナゴ」の4種類で、その中で一番美味しいとされているのが「マアナゴ」だそうです。
旬は夏で「梅雨アナゴ」「夏アナゴ」と言う言葉があるほどです。

アナゴはウナギ目アナゴ科の魚でウナギの仲間です。「ウナギのように脂っこくなく、アッサリとした甘みが特徴で、むしろ太っているものより細く締っている方が美味しいと言われます。
アナゴは脂ののる季節の冬ではなく脂ののらない時季が美味しいとされる珍しい魚なのです。

幼魚は珍味とされて「ノレソレ」(写真)と呼ばれ冬から春にかけた短い間ですが、生のままポン酢でたべる事ができます。
成魚になると何でも食べるので「悪食の魚」とも呼ばれてることもあり、肉食性で胃に大量の餌を収納できるよう、胃袋が発達し食溜めができるようです。自分の口より大きな肉片にも平気で食らいつき、体を回転させて食いちぎる獰猛さを持っています。
腸は短く夜間になると小魚・エビ・カニ類を食するので、これがアナゴの旨みの素になっているのでしょう。

代表的なものだと、関東では、やはり寿司と天ぷらですかね、関西ではお酒に合う白焼きも人気だと思います。
明石の方では、串に打ち白焼きにするのが定番らしいです。また新鮮なものは、刺身でも食べる事ができ、独特の歯応えと風味が格別とのことです。
もし新鮮なアナゴが手に入ったら刺身で召し上がってみては如何ですか。

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